
資料等のリンク(アーカイブ):2025年9、10月
- 2025/10/25
【ライブ第8回】10月はヴァル(居心地悪し)祭り&抜け出せ! 認知メタメタ沼
- ▶もやもや病については難病情報センターのこのページ。
▶アトリビューション理論(attribution theory)の基本は第1回の最初に。
▶Locus of control(ローカス・オブ・コントロール。「コントロールするのは誰/何?と考えるか」理論)は、アトリビューション理論の柱の一つ。1954年、ジュリアン・B・ロッタ―博士が提唱して、あらゆる研究分野で使われている概念。「自分がこの状況をコントロールできる
internal locus of control」という意識は行動や努力につながるが、本来、コントロールできない状況に対して自責の念を抱く原因にもなりかねない。一方、「他人/社会/運のせいで、自分にはコントロールできない
external locus of contorol」という意識は、他力本願、他責、無力感、努力の放棄につながりやすい。
▶トム・クルーズさんの話で出た読字障害(ディスレクシア)の説明はこちら(日本財団)。
▶成長曲線の見方(線を横切って寝そべる、立ち上がる)は「学校での成長曲線の活用について」(学校保健会)、「発育曲線の見方、考え方」(公財・母子衛生研究会)
▶「根本的な帰属の誤り Fundamental attribution error、FAE」は、アトリビューションの誤りの基本で、事象の因果関係(アトリビューション)を最初から間違ってしまうこと。非常に簡単に言ってしまうと「悪いことが他人に起きたらそれはその人個人の責任。悪いことが自分に起きたらそれは状況/運のせい」(「良いこと」なら、この反転)と解釈する認知バイアス。文化間の違いはあるものの、すべての人に見られる。たとえば、日本文化では通常、自分の成功を「自分が頑張ったから!」とは言わず、「みんなに助けられたから」と言うが(※)、これはFAEがないのではなく、「自分」というもの自体が「個」ではなく「個人のつながり」と認識されている社会であるから(比較文化心理学の研究結果)。 ※「言う=真にそう考えている」ではない
▶「同調性」は第2回、「オレらとアイツら」は第5回、第6回。
▶たとえば、自閉症(スペクトラム)の兆候かもしれないものを見つけ、支援につなげる大切さと方法については、Accessing Services for Autism Spectrum Disorder(米国CDC)、After Your Child’s Diagnosis of Autism Spectrum Disorder A Quick Start
Guide for Ages 0-5 (カナダ、ブリティッシュ・コロンビア州)
▶(一社)こども家族早期発達支援学会
▶「予言を自分で実現してしまう Self-fulfilling prophecy」は、「そう思っているから、そう行動して、そうなる」現象。話の中で出てきた以外で典型的なのは、「景気が悪くなりそうだ→消費を減らそう→景気が悪くなる」。ポジティブなもの、たとえば「きっとできるはず→努力する→できる」も同じ現象だが、たいていはネガティブな予想(予言)に用いる。心理学や教育学の分野では、「ゴーレム効果」「ピグマリオン効果」(周囲の低い/高い評価や期待が周囲の行動や言動に現れ、対象となった人のパフォーマンスに影響する。『保育者のための
心の仕組みを知る本』128ページ)が特に研究されている。
★心理学の訳語はとてもわかりにくくて、locus of contorolは「統制の所在」(内的統制、外的統制)と訳され、Self-fulfilling prophecyは「予言の自己成就」「自己成就予言」「自己充足的予言」と訳されています。ため息…。
- 2025/10/12
【ライブ第7回】「居心地の悪さ」がカギ:明かすわよ! 「おキャンプ」の謎
- ▶「認パ」は、第5回に生まれた新語💛
▶反芻思考 ruminating thought。日本語では「ぐるぐる思考」とも。
▶『不確実性の時代 The Age of Uncertainty』、ジョン・ガルブレイス(1977)から「不確実性」という訳が広まった模様。
▶VUCA: Volatility, Uncertainty, Complexity, and Ambiguity(快獣ブースカじゃないよ)
▶42分:ユリイカ!=古代ギリシア語の「わかった!」「見つけた!」の意。「エウレカ」「ユーレカ」とも。英語はEureka。
▶TED Talks(日本語)ブレネー・ブラウン博士 「傷つく心の力」
▶アルバム "Brat" Charli XCX。Bratという概念はこのヒットで広まった。
▶1時間13分頃:高次脳機能障害
▶Notes on "Camp" のスーザン・ソンタグは『隠喩としての病/エイズとその隠喩』で知られる。
▶その後に出てきている名前は、サルバドール・ダリ、ヒエロニムス・ボス(ボッシュ)、アントニ・ガウディ。
▶1時間37分頃:「LDH」と言っているのは、「LDR」の間違い。陣痛、分娩、回復を移動することなくできる部屋のこと。
▶最後に出てくる名前は…。スーザン・ソンタグさん&アニー・リーボヴィッツさん、チェリー・ヴァン大司教(ウェールズ聖公会)、ヨハンナ・シグルザルドッティル元・アイスランド首相、サリー・ライド博士(米国初の女性宇宙飛行士)&タム・オショーネシー博士、トーベ・ヤンソンさん&トゥーリッキ・ピエティラさん(著名なグラフィック・デザイナー)。ほぼ全員、日本語でも調べることができます(写真をお見せするために、番組では英語等のサイトを使いました)。
▶タンペレにあるムーミン・ミュージアム(日本語)
★第5回後半の2人の会話すべてがVulnerableでBratで、おきゃんぷ💛 次回もきっと、同様。
- 2005/10/6
第6回で話したチリング・エフェクト chilling effects(恐怖をあおる効果)は、項目がたくさんあって長いため、こちらのページに
2025/10/2 「ニュース短信」のページを新設
- 2025/9/27
【ライブ第6回】仮想敵よ、永遠なれ?!「オレらとヤツら」の深い闇
- ▶アフリカ大陸における遺伝子の多様性:こちらの2つめ、世界地図に円グラフがちりばめられている図。円グラフの時計回り、一番最初(濃い灰色)が「世界全体と共有している遺伝子」の割合で、アフリカ大陸の人口はいずれも3分の2程度と、低い。時計回りの次(薄い灰色)が「その大陸以外とも共有している遺伝子」、次いで「その大陸の中では共有が見られる遺伝子」、一番最後が「その人口集団の中特有の遺伝子」。
▶「ユダヤ教とシオニズムの違い」と検索、または同じプロンプトでチャットボットに質問してください。
▶「ネタニヤフ アマレク人」で検索(佼成新聞の記事がよくまとまっています)。
▶「青い目、茶色い目」50年前の差別実験、“目の色が起こした嵐”が再び話題に(ハフポスト、2020年)
▶A Class Divided. 米国PBSが作った、エリオットさんの授業のドキュメンタリー(自動翻訳を字幕で見ることができます。誤訳はありますが)
▶“福田村事件”101年 現代に問いかけるものは(NHK、2024年)
▶Genocide Watchの「ジェノサイドに至る10ステップ」(2022年)。これも自動翻訳を字幕で見ることができます。
- 2025/9/25
1)LLM(生成AI)を使い続けると脳が…
2)8割以上が、成績のために嘘のエッセイを書いた
- 1)MIT(マサチューセッツ工科大学)の研究グループが、LLM(文章の生成AI)を使い続けた時の脳の変化を調べた結果を発表(2025年6月)。
▶方法:参加者を「LLM/ChatGPTを使う」「検索エンジンを使う」「自分で考える」の3群に分けて、それぞれに3回、それぞれの方法でエッセイを書かせた。4回めのエッセイは、LLM群を「自分で考える」に変え、自分で書いていた群を「LLMを使う」に変えた。脳の動きをEEG(脳波)で調べ、エッセイの質も人間とAIが判断した。
▶結果:エッセイを書いている間の脳の各部位のつながりは3群で大きく異なり、「自分で考える」群がもっとも脳の広範な部位を使い、続いて「検索エンジン」、「LLM」だった。方法を変えた4回め、「自分で考える→LLM」群では内容もよく記憶しており、検索エンジンを使いながら書く群と同じような視覚処理の動きも見られた。一方、「LLM→自分で考える」では脳の各部位のつながりが弱いままだった。
さらに、「自分で書いた」という感覚は、「自分で考える」「検索エンジン」「LLM」の順に強く、LLM使用群では、エッセイを書いた直後でも自分が書いた文章の内容を思い出すのに苦労していた。エッセイの質も、LLM群が低かった。
直感的には「そうなるだろうな」という結果ではありますが、脳を調べてもやっぱりそうだった、ということです。
2)9月10日の話の中に出てきた件の詳細です。
ノースウェスタン大学とミシガン大学の学生を対象にした匿名インタビュー調査(2023~2025年、1452人)から、良い成績のため、あるいは良い人間関係のため、自分自身の保守的な信念とは異なるリベラルで先進的な内容の発言をしたことがある、あるいは、そのような内容のエッセイ(課題)を書いたりしたことがある学生が88%にのぼるという結果が得られました。80%は、(自分の信念とは異なる)教授の考え方に沿った内容のエッセイ等をクラスで提出したことがありました。ここで言う「信念」とはたとえば、いわゆるジェンダー・アイデンティティ、政治、家族のあり方など、です。
また、近しい友だちとの会話でも、こうした話がそれぞれの真意なのかどうか疑っている人が73%おり、さらに、恋人との間でも半数近くがこうした話題について自分が考えている本当のこと(=保守的とみなされる考え)を隠していると答えたそうです。
「これは単なるピア・プレッシャーではない。アイデンティティ・コントロールが社会の中に埋め込まれているということ」と、調査をした研究者たち(2025年8月12日)は書いています。自分の考えをはっきり言葉にして議論し、アイデンティティを形成していくべき場であるはずの大学で、成績や人間関係の不安ゆえに自分のアイデンティティを隠さざるを得ないというのはシステムとして歪んでいるわけで、この記事が書いている通り、「インクルージョン(※)を優先させる結果、人が本当のことを言えなくなるようなら、それは心理的安全を保証しておらず、その人のアイデンティティを放棄するよう迫っていること」になります。自由のように見えて、まったく逆。また、信念を隠していることは本人もわかっているわけですから、隠している事実に対する怒りや不満も含んだ本心が別のところで、より強固なアイデンティティ/信念として出てくる可能性(リスク)もあるでしょう。
※以前の回でも出てきた、Diversity, Equity, and Inclusion (DEI) のひとつ。組織や社会における多様性、公平性、包括性の保証。
- 2025/9/10
【ライブ第5回】3人寄れば、愚者の知恵?! 集団思考(グループシンク)の危険性
- ▶新しい言葉「認パ」が生まれた!
▶「チャレンジャー号爆発事故から30年 当時の子供たちが乗組員の思いを受け継いでいる」(2016年1月、ハフポスト)
▶ホワイトのエッセイ、"Groupthink"(1952年、Fortune誌)。
このエッセイの最後の段落:第二次世界大戦後、大企業が跋扈しつつあった米国に対する警告でしたが、今、読むと…。
「答えは、『確固たる個人主義』への回帰ではない、そんなものはかつて存在したことがないのだから。かといって、社会科学や『人間関係』への関心を弱めることでもない。この混乱した社会がより円滑に動けるようにする方法を見つけなければならないのは間違いなく、あらゆる科学がそのための光明を与えてくれる。だが、それだけでは足りない。人間の倫理感が骨抜きされ、集団の調和のために個々の自律を犠牲にしてしまわぬよう、一人ひとりを今こそあらためて尊重し始めなければならないのである。人間性の復興、それはおそらく、異議を唱える者を単に受け入れるだけでなく、異端であることを奨励しようとする意識的で意図的な集団の努力――こう書いてしまうと簡単だが、きわめて根本的な取り組みであり、簡単に「こうしなさい」と言えるものではない。
この取り組みは、一人ひとりの個人にしかできないものだ。」
- 2025/9/1
「モナリザ」が有名なのはすばらしい芸術だから…?:もうひとつの「バズる」要因
- デジタル・メディアのシステムには、発信側を動機づけるために「アルゴリズム上、時々、バズらせる(質にかかわらず)」ようなトリックもあるはずと話しました(8月25日))。そう言ったのには理由があります。そんなアルゴリズムがたとえなかったとしても、質ではなく、あるいは質とは別に、ランダムな要因(≒運/確率)が人気の一因であることはすでにわかっているからです。
2006~2009年、デジタル・メディアが根づく前に出た3本の論文の話を掛札個人のサイト(2015年当時)に書いた記事を再掲します。この実験方法、今ではごく普通ですが、当時は画期的でした。ちなみにこの記事のタイトル、「モナリザ…」は、研究を紹介したNPRニュース(2014年)から借用しました。
(2015年に書いたもの。2006~2009年の実験結果)
米国プリンストン大学社会学部のMatthew Salganik教授は、音楽や芸術作品が有名になるのは、それが質的にすばらしいからなのか、それとも偶然(chance)の結果なのかを知りたいと思い…、実験をしたそう。つまり、誰かが「これ、いいよ」と言い始め、それがなぜか広がり、結果的にその作品が「すばらしい」という話になることもあるのか、ということ。
一連の実験では、10代の人たち計約30,000人をネット上で集め、ネット上の9つの「パラレル・ワールド」に分けました(人種や性別などは均等に配分=この手の実験の鉄則)。9つの「世界」の間に交流はありません。そして、それぞれの「世界」の住人に48曲の音楽を聞かせました。どれも、市場に出ていない新しいバンド(複数)の曲なので、誰にとってもすべてが未知。「聞き終わった後、気に入った曲をダウンロードしていい」と参加者に伝えました。
9つの「世界」のうち1つ(いわゆる「実験対照群=control group」)では、同じ世界にいる他人がどの曲をダウンロードしたのかがわからないようになっています。一方、他の8つの「世界」では、どの曲がダウンロードされたかを知ることができます。つまり、曲の人気が100%、「作品の質」によるのであれば、9つの「世界」すべてで48曲は似たようなランキングになるはずです。
ところが(もちろん!)、そうはならず…。ある「世界」でランキング1位になった曲が、別の「世界」では48曲中40位。実験開始時点の違いが「世界」の中の人たちの相互影響(social
influence)を通じて広がり…、まったく異なる「人気ランキング」を生み出しました。とはいえ、質の高い曲がとても低いランキングになったり、ひどい曲がトップになったりするようなことはなく、また、実験開始時点でランキングの下の方にわざわざ置いた「良い曲」は次第にランキングが上がり、その逆も起こりました。質はそれなりに重要だったのです。
Salganik教授の研究グループは一連の研究で、作品の「質」が人気に占める役割は限られていることを量的にも示しています。とんでもなく質の低いものは偶然の力も借りられないけれども、ある程度の質の基準を満たしていれば、あとは「人気」と呼ばれるもののかなりの部分が「偶然(chance)」によるものだということです。
NPRニュースの最後にSalganik教授が言っている言葉がふるっています。"I think that if you believe
that there's a large role for chance in the outcomes that people have and
the kinds of success that people have and also the kinds of failures that
people have, it changes how you treat other people." 確かにそうです。「人生の成功や失敗の一部が偶然(chance)にもよるものだと皆が理解すれば、他の人(成功した人、失敗した人)を見る目、他の人たちへの接し方は変わるはず。」
〔過去の資料は、下か左のARCHIVE(アーカイブ)にあります〕
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